2014年5月31日土曜日

2014年度第3回定例会開催のお知らせ(2014年6月28日[第4土曜日])

2014年6月28日(土)に2014年度第3回定例会を開催いたします。


今回は、東洋英和女学院大学修士課程所属の工藤真紀さんと、お茶の水女子大学リサーチフェローの土野瑞穂さんが報告者です。


工藤さんは現在取り組んでいる修士論文に関して、土野さんは、今年3月に提出された博士論文の内容をご報告いただきます。
・工藤さん「アドボカシー・キャンペーンはどのように社会的認知されるのか―「セーフ・デリー・キャンペーン」の事例から」
土野さん「『慰安婦』問題と『償い』のポリティクス―『女性のためのアジア平和国民基金』の『償い事業』に着目して


詳細は下記情報をご参照ください。
そろそろ紫陽花の季節ですね

どなたでも、関心のある方は参加可能です。
ご出席希望の方は資料準備の都合上、6月25日(水)までに、devgen.isgs@gmail.comまでご連絡いただけますと幸いです。


どうぞよろしくお願い致します。


2013年度devgen事務局(太田・中村)

devgen.isgs@gmail.com




===転載可・ここから===


2014年度 国際ジェンダー学会「開発とジェンダー」分科会 第3回定例会ご案内


・日時:2014年6月28日(土)13時~18時

・場所:お茶の水女子大学文教育学部1号館3階307号室

■第1報告

報告者:工藤真紀(東洋英和女学院大学大学院 国際協力研究科修士課程)
タイトル:「アドボカシー・キャンペーンはどのように社会的認知されるのか―「セーフ・デリー・キャンペーン」の事例から」
 <要旨>
 現在、インドの首都デリーにおいて、「セーフ・デリー・キャンペーン」という、デリーを女性たちにとって安全な街にしようとするアドボカシー・キャンペーンが行われている。そのキャンペーンは、現地NGO団体ジャゴリ (JAGORI awaken women”の意味、以下Jagoriと称す) が主体となって、2004年から開始され、女性の権利に関するワークショップを開くなど、女性の権利保護を訴えるアドボカシー活動を展開している。インドでは、古くから上下の身分関係で厳格に分けたカーストという制度が残っている。インド憲法では、カースト制度による差別を禁止してはいるものの、いまだに国民の間ではカーストに依る差別が残留している。また、インド政府は憲法改正などを行い、女性差別の撤廃をうたってはいるが、それは専門家の意見や女性団体側の意見を十分に反映したものではなく、実効性に欠けるものとなっている。ダウリー(結婚持参金)に関する暴力、サティ(寡婦殉死)、幼児婚に伴う暴力、レイプなど、女性に対する暴力は極めて重大であり、深刻である。そのような状況の中で、「セーフ・デリー・キャンペーン」が行うアドボカシー・キャンペーンが社会的にどのように認知され、人々の行動に変化をもたらしているのかについて調査、考察する。



■第2報告
報告者:土野瑞穂(お茶の水女子大学 リサーチフェロー)
タイトル:「『慰安婦』問題と『償い』のポリティクス―『女性のためのアジア平和国民基金』を中心に」
<要旨>
 本研究は、日本政府主体による「慰安婦」問題解決の方法やあり方を、日本社会という文脈の中で具体的に検討することを課題とする。この課題を達成するために、日本政府による対応措置としては事例とも位置付けられ得る「女性のためのアジア平和国民基金」(略称アジア女性基金。以下同)に着眼点を見出し、同基金の発足(1995年)から解散(2007年)を経て今日に至るまでの一連の過程を分析することを本研究の目的とする。具体的には、アジア女性基金は、誰のどのような意図に基づいて発足したのか、実施した事業は元「慰安婦」や運動にどのような影響を与えたのか、そしてその後の「慰安婦」問題において基金はどのような位置づけとなっているのかを明らかにすることである。アジア女性基金以降、日本政府は「慰安婦」問題に対して何の対応もしておらず、さらに日本の運動はアジア基金発足以降、その是非をめぐる対立に囚われ続けている。こうした状況を打開するための試みとして、本研究ではアジア女性基金をめぐる問題を実証的に分析し、「慰安婦」問題の解決に向けた示唆を引き出すことを目指す。


出席の方は、資料準備の都合上6月25日(水)までに下記アドレスまでご連絡いただければ幸いです。


email: devgen.isgs@gmail.com(太田・中村)



*会場最寄り駅

http://www.ocha.ac.jp/access/index.html
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅下車
東京メトロ有楽町線「護国寺」駅下車

*当日は、正門よりお入り下さい。(南門は閉門しておりますのでご注意下さい)

*入構の際、身分証明書をご提示の上「開発とジェンダー」分科会とおっしゃってください。
*会場は正門から見て正面のキャンパスマップ中①になります。建物の中に入りましたら、左手に曲がって道なりに行くと教室があります。
http://www.ocha.ac.jp/access/index.html#no3

今年度の定例会は、研究報告と研究書の講読会を下記のように予定しています。


■2014年度定例会予定



・第4回 2014年10月(日付は決まり次第お知らせいたします)
現在調整中です。確定次第、お知らせいたします。

・第5回以降:未定です。基本的に、長期休暇以外の期間に、月に一度の開催を予定しています。報告を希望される方は、事務局までご連絡ください。


■研究書講読会:後期から開始予定でしたが、現在調整中です。


皆様のご参加をお待ち致しております。


連絡先:

太田麻希子・中村雪子
email:devgen.isgs@gmail.com
===転載可・ここまで===

2014年5月10日土曜日

2014年度第1回定例会記録(2014月4月12日開催)

201412日(土)に2014年度第1回定例会が開催されました。


・日時:201412日(土)13時半~17時半
・場所:お茶の水女子大学文教育学部号館304号室



■報告1:平野幸子(東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科修士課程)
タイトル:「家族性大腸腺腫症(FAP)女性の妊娠・出産・育児にまつわる支援への一考察」
■報告2:多田利恵子(東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科修士課程)
タイトル:「人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として」人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として

4月半ばだったので、ハナミズキもまだ開きかけでした

本定例会では、修士課程在籍中のお2人に、それぞれ取り組んでいる修士論文の内容を報告していただきました。主に医療の分野で研究が蓄積されてきた平野さんの研究に関しては、社会科学的かつジェンダーの視点から研究を発展させるために、主に研究手法に関して議論がなされました。また、日本における人身取引対策と国際的な潮流にかい離があることに問題意識を持って研究に取り組んでいる多田さんの報告では、幅広い領域にまたがる問題構成に対して、いかに具体的な事例から意義ある議論が可能か意見が交わされました。





--下記、報告の要約になります。

□平野幸子さん(東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科修士課程)
報告タイトル:『家族性大腸腺腫症(FAP)女性の妊娠・出産・育児にまつわる支援への一考察』
 家族性大腸腺腫症(FAP)は、1020歳頃から、大腸に多数の腺腫を発生し、放置するとほぼ100%大腸がんを発生する常染色体優性遺伝疾患である。治療法の一つには、がんが発生する前に、予防的に全大腸を摘出する手術がおこなわれることがある。手術を行うことにより、女性の生殖に影響することが分かっている。報告者は患者会への継続的参加経験から、FAPには遺伝性の病であることに附随して女性に特有の困難が生じているのではないかと着想し、研究に至ったものである。本報告では、患者会が発刊するニューズレターに掲載された記事を資料として、家族性大腸腺腫症女性の生殖に関連する問題や困難な状況を分析・考察した。次世代へ引き継がれ遺伝することは、女性の身体を通して行われる生殖に関連することから、女性に特化した支援の重要性を論じた。質疑応答では、女性の困難さや状況をさらに明らかにしていくために、患者会そのものの設立経緯や活動内容に関する追加調査の必要性が指摘された。


□多田利恵子さん(東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科修士課程)
報告タイトル:『人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として』
国連での人身取引禁止議定書採択以降、国際的に積極的な取り組みが進められる中、日本も人身取引対策に取り組んできた一方、その取り組みの速度や方向性は国内外から批判されてきた。報告者は、まず、国際的な人身取引廃絶の取り組みの展開を論じた上で日本の取り組みの現状を提示した。そのうえで、日本が人身取引廃絶レジームに適応しようとしつつもできていない要因を、ジェンダー的視座から日本の文化的社会的特性を考察することで明らかにしようと試みた。フロアからは、比較対象国の選択や分析視点、日本のNGOの展開を通して日本を研究する可能性などについて指摘があり、議論が展開した。