2014年5月10日土曜日

2014年度第1回定例会記録(2014月4月12日開催)

201412日(土)に2014年度第1回定例会が開催されました。


・日時:201412日(土)13時半~17時半
・場所:お茶の水女子大学文教育学部号館304号室



■報告1:平野幸子(東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科修士課程)
タイトル:「家族性大腸腺腫症(FAP)女性の妊娠・出産・育児にまつわる支援への一考察」
■報告2:多田利恵子(東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科修士課程)
タイトル:「人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として」人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として

4月半ばだったので、ハナミズキもまだ開きかけでした

本定例会では、修士課程在籍中のお2人に、それぞれ取り組んでいる修士論文の内容を報告していただきました。主に医療の分野で研究が蓄積されてきた平野さんの研究に関しては、社会科学的かつジェンダーの視点から研究を発展させるために、主に研究手法に関して議論がなされました。また、日本における人身取引対策と国際的な潮流にかい離があることに問題意識を持って研究に取り組んでいる多田さんの報告では、幅広い領域にまたがる問題構成に対して、いかに具体的な事例から意義ある議論が可能か意見が交わされました。





--下記、報告の要約になります。

□平野幸子さん(東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科修士課程)
報告タイトル:『家族性大腸腺腫症(FAP)女性の妊娠・出産・育児にまつわる支援への一考察』
 家族性大腸腺腫症(FAP)は、1020歳頃から、大腸に多数の腺腫を発生し、放置するとほぼ100%大腸がんを発生する常染色体優性遺伝疾患である。治療法の一つには、がんが発生する前に、予防的に全大腸を摘出する手術がおこなわれることがある。手術を行うことにより、女性の生殖に影響することが分かっている。報告者は患者会への継続的参加経験から、FAPには遺伝性の病であることに附随して女性に特有の困難が生じているのではないかと着想し、研究に至ったものである。本報告では、患者会が発刊するニューズレターに掲載された記事を資料として、家族性大腸腺腫症女性の生殖に関連する問題や困難な状況を分析・考察した。次世代へ引き継がれ遺伝することは、女性の身体を通して行われる生殖に関連することから、女性に特化した支援の重要性を論じた。質疑応答では、女性の困難さや状況をさらに明らかにしていくために、患者会そのものの設立経緯や活動内容に関する追加調査の必要性が指摘された。


□多田利恵子さん(東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科修士課程)
報告タイトル:『人身取引廃絶レジームの展開と課題――日本の事例を中心として』
国連での人身取引禁止議定書採択以降、国際的に積極的な取り組みが進められる中、日本も人身取引対策に取り組んできた一方、その取り組みの速度や方向性は国内外から批判されてきた。報告者は、まず、国際的な人身取引廃絶の取り組みの展開を論じた上で日本の取り組みの現状を提示した。そのうえで、日本が人身取引廃絶レジームに適応しようとしつつもできていない要因を、ジェンダー的視座から日本の文化的社会的特性を考察することで明らかにしようと試みた。フロアからは、比較対象国の選択や分析視点、日本のNGOの展開を通して日本を研究する可能性などについて指摘があり、議論が展開した。



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